3−1  ナレッジとソリューション営業

ソリューション営業の定義

 

 「顧客の経営課題に対して、創造的かつ複合的解決策をアライアンス含めた提案型営業として早期に提供し、顧客ロイヤリティーを長期に維持する営業活動の総称」と言えよう。

 ソリューション、ソリューション営業・・といわれて久しい。バブルが破綻した数年後から盛んに大手企業からこの用語が氾濫し、特に組織名に使われ始めたのも古い記憶に入ってきた。そして1990年後半のIT普及に伴って経営ガバナンスとして中小企業の販売戦略にも盛り込まれて来ている。

 このソリューション営業はコンサルティング営業とも比較されるが、提案型という意味では同じカテゴリーに入る。しかし明確な解決策の提供という意味では概念に相違がある。顧客のビジネスを成功させるために仮説手法を採用しながら創造的な解決策を提供する営業である。今、経済の低迷に瀕しているわが国であるがこの社会環境の変化によって顧客関係も変化せざるをえなくなってきている。この顧客との関係性を図示する。

 


過去 3C としての顧客関係

 

 これまでの顧客関係は以下のようにトライアングル構造であった。顧客からの契約締結にあたり自社競合だけに眼中が注がれてきた。競合を駆逐さえすれば企業の社会的生存を成立させてきた。いわば自社が中心でありプロダクトアウトの典型でもあった。経営指標は自社志向のシェアでありその製品・サービスの便益や社会的責任に思いが巡らないものである。市場のパイが伸長の中、競合さえ除去すれば売上拡大が出来た時代でもあった。経済成長期のモデルである。キーワードは系列・実績・調整・接待である。

 

 

21世紀の顧客関係 9C(7C+2C)

 

 1990年以降の環境の激変は顧客関係にも大きな変化をもたらした。連立政権の誕生、市場開放、生産拠点移転、IT革命、規制緩和、環境問題など社会の影響を受けてこれまでのモデルでは企業存続維持が難しくなってきた。特に体質の弱い建設・流通・不動産・金融・保険等の悲劇や企業不祥事は記憶に新しい。

 1989年ベルリンの壁が崩壊し、東西陣営の融和時代になったにも関わらず、日本はバブルの幻想に浸り取り組みは更に遅れることになる。世界的な潮流の変化認識と即時対応する柔軟な経営姿勢が今も問われている。これまでの競合関係も共生・協働へと変化してきた。新しい考え方は、競合は自社を補完する事業体でもある、という見方である。つまり国家・業態・技術領域などを越えても必要に応じてアライアンスを組み、コアコンピタンスを強化し生き残りをかけるのである。

 つまり「顧客ありき」のマーケティング展開に経営資源を集中し世界的視野での販売戦略策定が必須条件である。顧客を中心におき、顧客の取り巻く環境を多角的に分析する手法が不可欠になってきた。その9C(7C+2Cを図示する。

 この9Cについては単純な論理であるが、目先の売り上げに囚われるとこの関係を見失うことが頻発する。この全体視野はとかく忘れがちな社会性逸脱の危険性から開放してくれる。また企業の新しい顧客創造へはこの関係性から逃れることは出来ない。

  また最終便益享受者(Consumer of benefit)という立場を理解しておくことが鍵で、この認識があれば循環論理により自社の販売活動が自社やその周辺にリターンする仕組みを理解するだろう。このキーワードは仮説・変化・協働・循環である。

 今、経済の低迷に瀕しているが社会環境の変化によって営業手法を変化せざるをえなくなってきている。環境(Circumstances)が変わり最終便益享受者の目が厳しくなってきた現在、この9Cまでのスキームは当然要求される。

 さらに重要な認識は、自社は他社の中で生かされている、また環境の中で影響を与えながら、受けながら動いていく主体でもあり客体でもある、ということである。この流動的な位置付けを経営者の意思とナレッジ・ITツールで戦略方向への新しいステージを創造するのである。

 

 

3-1 ソリューション営業
3-2 営業とSFA